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運命の出会い

さんざん迷惑をかけた妻とまともに遊んでやれなかった子供たちに捧ぐ 背丈の割に大きくてごつい彼の手は、がさつだが全てを包み込むようなあたたかさがある。 そ れは春の嵐だった。桜が舞い散る桜吹雪の中を彼は子供を肩車しながら走って僕の前に現れた。髪は剃っているのだろうか?ピカピカの頭にラグビーシャツ。テ キ屋のおっさんではないかという風貌と正直センスの欠片もない服装に「うわぁ、残念!」と思わず心の中でつぶやいていた。 話はその一ヶ月前にさかのぼる。 2008 年の3月初旬の頃だろうか? 「ブログでメル友出来ちゃった」と妻の何気ない会話だったと思う。「昨年までシアトルに住んでいたんですって!」。ちなみに 妻は高校を卒業後単身カナダで英語学校へ通い、そのままシアトルの大学へ入学、卒業するまで4年ほどシアトルにて暮らしており、大のシアトルフリークであ る。話しはまだ続く「しかも、今私達と同じ船橋で旦那さんも直ちゃんと同い年、かつ子供もなんと3歳と1歳の一男一女って全く同じって、ここまで偶然って ある?」。さすがにテレビの傍らで聞いていた僕も「へえ~、マジ?」と答える。大抵、たとえ偶然であっても同じ地元というのは早々ない。「家が近いなら今 度直接会ってみれば?」大して気にもせず言ったと思う。でもそれが運命の出会いとなるとは・・・。 その日はうららかな花見日和だったと思う。近くの川沿いでは300メートルほどの桜並木に大勢のお花見客が盛り上がっていた。 「はじめましてたくみと申します。妻がいつもお世話になっております。みんな僕のことを「さる」と呼ぶので、そう呼んでください」 (おおっ、テキ屋の割には丁重な振る舞いではないか!?) 勝手にテキ屋にしてしまった僕に気にする様子もなく、会話は進む。 「実は船橋という街自体住むのが初めてなもんで、夫婦同士地元で友人が出来るのは正直嬉しいですわ。これからもよろしくたのんます。」 おやっ?もしかして・・・ 「もしかしたら、関西の方ですか?」 「ええ、大阪の高槻に大学まで住んでました。」 なるほど。だから地元の話をしてもつながらなかったんだ。 「僕は大学卒業後、関西本社の広告代理店にいたんですよ。」 「入れ違いだけど奇遇ですね。」 妻 達は我々とは違い何度かあっているせいか、ベビーチェアを押しながら会話が盛り上がっている。こちらはどこの素性かわからない同士で話しているせいかどう もぎこちない。一緒に連れている子供たちは慣れたもんで既に仲良く屋台を覗きながら楽しそうである。小一時間ほど立ち話をしていただろうか? 「もしよければ違う場所で話しませんか?」とたくみさん。 「いいですね。何も用意していないから座ることも出来ませんものね」 正直子供をつれてこの混雑の中を歩くのには疲れていたのでにべもなく答えた。 「我家の方が近いのでうちに来てください。」と僕。 「じゃあつまみとか買ってそちらに向かいますわ。」と彼。 きびすを返すを最初に会ったときと変わらずに、彼は桜並木の中を駆け抜けていった。
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