
「やまちゃん、凄いんだよ!」
ゴールデンウィークの次の週だったろうか?いやゴールデンウィーク中だったと思う。
携帯電話の先から、鬼の首を取ったかの勢いで矢継ぎ早に話しかけてくる。
このときの彼は正直うざい。
早々に電話を切り上げようとしたのだが次の言葉に息を呑んだ。
「シャッター通りだった高槻が、なぜか街中ジャズの音楽で溢れかえっているんだよ!」
「どういうこと???」
たしか、ベットタウンでシャッター通りと言っていたような・・・?
「いや、高槻でジャズフェスティバルが開催されていて、ありえんほどの観光客で頭がおかしくなりそうや!」
「へぇー、そりゃすごいねぇ、ところでさぁ・・・」
ともう少し詳しく聞こうと思った矢先、
「実は高校の友人がその代表を紹介してくれるって言ってくれたから、ちょっと行ってくるわ!」
と一方的に電話を切られてしまった。
「・・・一体何なんだ???」
話の内容が見えないが、ともかく高槻にもジャズフェスティバルがあるらしい。それも信じられないほどの観光客が集まる・・・。
定禅寺と高槻、ひょんなところでジャズフェスティバルがつながった。これは決して偶然ではない。確証はないが何故かそう思った。
そして彼が早く実家から帰ってこないか、珍しく彼を心待ちにしてゴールデンウィークを過ごしたのであった。